今日、いきなりタイヤがゴボボボと音を立てた。
まっすぐ走れなくなった。
タイヤを見ると、はずれている。
金属とゴムがはずれて、ゴムが金属の内側にはずれている。
はずれたように見えた。
はずれたのだからなおせばいい、と思う。
やってみて思ったが、どこにゴムを引っ掛けるのかわからない。
状況はどうなってるんだ?
悪いのか?
ゴムと金属は接着剤でくっついているもので、
それがはずれてしまったのか?
わからない。
親にトラックで来てもらおうか?
いや、ここまで1時間かかる。
てか、自宅生じゃなかったら、友達に頼まなきゃいけなかったのか。
結局親にも頼まないまま、
とりあえずガタガタしながら帰る。
家まで40分なので、帰りきるとは思っていない。
途中でバイク屋を見つけて、
タイヤ交換なりやってもらうつもり。
ガタガタゆれながら原付乗って、
たまに止まって、タイヤを見てみる。
タイヤ熱い。
無理に走るから?
それともいつも熱かった?
熱いことは悪いことなので、たまに押して進む。
暗くなってショボーンになってきたころ、
SUBARUのマークが。
近づくと、車の修理工場だ。
近づいて、若い長髪のお兄さんに状況を聞いてみる。
タイヤを見てもらって、
チューブから機械で空気をいれだした。
シューとなって、どこからか空気が抜けていると判明。
パンクのようだ。
パンクしたら、今回のように、
ゴムと金属が外れるようだ。
「直りますか?」
「直せると思います」
お兄さんを心強く感じた。
カッコイイ。
暗くなっていた工場に明かりがついて、
今度はおばさんがでてきた。
「こっちに持って来な」
サバサバした感じのいいおばさんだ。
タイヤに霧吹きをして、穴を探す。
あわ立ってるところを発見する。
その穴をふさげばいいようだ。
でも、どうやって?
まず、穴に棒をぶっさした。
それから、ゴムを入れ込んだ。
(なんか、おばさんやら感じのいいやら穴やらゴムやら言ってますが、
いやらしい話ではない)
生ゴムとか言っていた。
つめこんで、飛び出た部分はカットした。
これで終了。
タイヤにしめつけられて、ゴムが飛び出さないから、
穴をふさぐことになるようだ。
「このタイヤ、変えたほうがいいよ。
ツルツルでしょ。
これはパンクしやすい状態。」
アドバイスもいただいた。
修理代は、自転車のパンク修理と同じで、1000円。
決まってなかったらしいが、
1000円にしてくれた。
タイヤ交換で5000円を覚悟してショボーンで原付押してた俺にとって、
助かった。
「ありがたいです。」
といって、1000円払う。
原付に乗って、去る前にもう一度お礼。
「ありがとうございましたー。」
お兄さんもおばさんも感じよかったし、
お兄さんの言葉遣いもしっかりしていた。
困ってるときに助けられると、
すごく感動するなと思いながら走る。
原付のありがたさを感じながら走る。
俺は何もできねえな。
それに比べ、あの人たちは人を助けられる。
俺はロンゲの修理してる兄ちゃんを一般的にバカにしていたが、
見る目が変わった。
言葉遣いもしっかりしてて、
ちゃんと話を聞いてくれたお兄さん。
すべてのヤンキーっぽい職人がいい人とは思わないが、
しっかりした人もいることを俺は忘れていたようだ。
これからはその人自身を見て、
接して、人を判断しなくちゃ。
便利なものを作るのもいいが、
困ってる人を助ける仕事もいいな。
俺の中に少しのやさしさが戻った。
人を変えることができるのは、人なんだなあ。